●消費者契約法は、契約の取消権や不当な条項の無効を主張できる権利を消費者に認め、消費者契約から生ずるトラブルや被害を抑制することを目的としています。なお、消費者契約とは、消費者と事業者との間で締結される契約のことです。
●消費者と事業者の締結した消費者契約のすべてが消費者契約法の適用対象となります(平成13年4月1日以降に締結された消費者契約に限られます)。ただし、労働契約(雇用契約)は適用除外となっています。
●消費者契約法でいう「消費者」とは、事業として、又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く「個人」、としています。いわゆる個人事業者は、消費者としても、事業者としても契約当事者となる場合があります。個人事業者が、事業としてでもなく、事業のためでもなく契約の当事者となる場合には、消費者として取り扱いますが、この区別は、非常に難しい場合があります。
●消費者契約法でいう「事業者」とは、「法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう」としています。法人はすべて事業者となり、国や都道府県のような公法人、日本銀行などの特殊法人、民法34条による公益法人、株式会社などの営利法人、NPO法による法人、宗教法人、学校法人、労働組合、民法上の組合、法人格を有しない社団や財団なども含まれます。なお、「事業」は営利に限るものではなく、反復継続して行われる同種の行為を意味しますので、弁護士や行政書士などの専門的職業も対象になります。また、個人営業主などの、事業として、又は事業のために契約当事者になる個人も含まれます。
●消費者契約法は、業者との立場をより対等なものにしようという法律です。
●消費者契約法には、事業者・消費者の双方の努力義務が定められています。
事業者の努力義務→ | 契約内容を明確、平易になるように努力すること、勧誘においても必要な情報を提供するように努力すること |
消費者の努力義務→ | 契約の当事者としての責任を自覚し、その責任を果たす必要があり、契約を締結するにあたって、事業者から提供された情報を活用し、契約内容を理解するように努力すること |
●消費者契約法により、消費者契約の締結過程にかかわるトラブルが解決できるようになります。
●クーリングオフ期間が過ぎてしまっても、契約の勧誘時、業者側に不適切な行為があった場合には、消費者契約法により契約の取消しを主張することもできるのです。消費者契約法は、消費者にとって、たのもしく、心強い味方と言えるでしょう。
●取消権は、「だまされた」などとはっきり気づいた時(追認できる時)から6カ月間、契約締結の時から5年以内であれば行使できます。
●事業者が、
①契約の重要事項(※)について事実と違うことを告げる(不実告知)
②将来の見込みを断定的に言う(断定的判断の提供)
例:「この商品は必ず値上がりしますよ」「この必勝法を使えば誰でも大当たりを引ける」
③消費者に不利益なことを故意に告げない(不利益事実の不告知)
④自宅に居座ったり(不退去)、営業所に閉じ込めたり(監禁)して契約を結ばせる
などの勧誘を行い、消費者がそれにより「誤認」(①②③)「困惑」(④)をして契約をした場合、消費者はその契約の取消しができます。
※重要事項とは、次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう(法4条4項)。
1 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容
2 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件
●消費者契約の契約条項に関して、消費者の利益を不当に害する一定の条項の全部、又は一部が無効となります。
損害賠償額を予定する条項等の無効
・消費者契約の解除にともなう損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、その条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、その消費者契約と同種の消費者契約の解除にともない当該事業者に生ずべき「平均的な損害の額」を超えるもの(超過部分のみ無効)
・遅延損害金などについて、未払金の年利14.6%を超える定めをした条項(超過部分のみ無効)
消費者の利益を一方的に害する条項の無効
●消費者契約法第10条
民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則(信義誠実の原則:略して信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
●「消費者の利益を一方的に害する」とは、情報、交渉力の格差を背景とする不当な条項によって、消費者の利益を信義則に反する程度に損なうことをいいます。「一方的に」とは、不当な特約によって、当事者の衡平を損なう形で消費者の利益が侵害されている場合をいいます。
●信義則とは、社会共同生活において、権利の行使や義務の履行は、互いに相手の信頼や期待を裏切らないように誠実に行わなければならないという原則(法理)のことです。民法第1条第2項では、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」とされています。
●消費者契約法10条により無効となる条項の例
・「事業者は催告なしに即時に解除できる」
解除権の行使に関して、履行遅滞の場合には、相当の期間を定めた催告が必要ですので、このような条項は無効と考えられます。
・「事業者の債務不履行がある場合には、消費者が事業者の故意・過失を立証しなければならない」
このような立証責任を転換する条項は無効となります。
●クーリングオフできない場合でも、消費者契約法等を使って、契約を取り消すことができる場合があります。取り消す場合には、必ず内容証明郵便を使うようにしましょう。
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