特定商取引法で解決

特定商取引法に基づく契約の取消し

業者の虚偽説明などの違法な勧誘行為によって、誤認して契約をした場合、その消費者個人が契約(申込みや承諾の意思表示)を取り消すことができる制度です(平成16年の特定商取引法改正により定められました)。ただし、平成16年11月11日以降に締結された契約が対象となります。したがって、平成16年11月10日以前の契約については、消費者契約法や民法による取消しを検討することになります。

業者が勧誘の際に、法令で定める重要事項(商品等の種類・品質等、商品等の価格・対価、商品等の代金・対価の支払の時期・方法、クーリングオフ・解除に関する事項など)について、事実と違った説明をしたり(不実のことを告げる)、事実を故意に隠したり(故意に事実を告げない)して、それにより消費者が誤認して契約した場合、取消しの対象となります(違法な勧誘行為が取消事由となります)。

各取引ごとの重要事項もあります。

連鎖販売取引 特定負担、特定利益
特定継続的役務提供 関連商品、中途解約(精算方法含む)
業務提供誘引販売取引 業務提供利益、特定負担

特定商取引法で取消制度を定めた取引は、通信販売以外のすべての取引です。要するに業者による勧誘行為がある取引が対象となります。取消制度が定められたことにより、クーリングオフ期間が経過しても、違法な勧誘行為を理由に契約を取り消すことができるようになりました。以前は、業者の禁止行為についての罰則はありましたが、契約を解除するには、クーリングオフをするか、クーリングオフ期間経過後であれば、消費者契約法か民法による取消しを主張していました。

追認できる時から6カ月間は契約を取り消すことができます(ただし、契約締結の時から5年が経過すると、取消権を行使できなくなるので注意が必要です)。「追認できる時」とは、業者の勧誘時の説明が事実と違っていたこと、あるいは、業者が事実を故意に隠していたことを、はっきりと知った時です。

消費者契約法や民法による取消しなどでも同じなのですが、契約を取り消す場合には、「実際に取消事由に該当する行為がなされたのかどうか」が一番重要なポイントとなりますので、業者の勧誘時や、契約の締結時には、後々の証拠となるように、業者の説明などをメモしておいたほうが良いでしょう。

特定商取引法で契約を取り消す場合には、クーリングオフのように書面で行うことは要求されていませんので、業者に対して口頭や電話で、「取消事由があり、契約を取り消す」旨を通知することも可能です。しかし、当然のことながら、「言った言わない」の水掛論になる場合も多く、業者側もやすやすと応じることが少ないことを考えますと、証拠に残るように、やはり内容証明郵便で通知すべきです。

 

内容証明郵便は、クーリングオフするときだけでなく、契約を「取り消す」ときにも使います。

 

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