主務大臣申出

主務大臣申出制度とは

特定商取引(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引)の公正と消費者の利益が害されるおそれがある場合には、主務大臣(内閣総理大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣)に適当な措置をとるべきことを求めることができる制度です(特定商取引法第60条)。簡単に言いますと、業者の行為が、「特定商取引の公正と消費者の利益が害されるおそれがある」と思われるとき(疑いのあるとき)は、お役所に対して、「調査してください」と請求できる制度です。例えば、「Aという業者がこんなことして勧誘している」「Bという業者にこのように言われたが事実と違う」などと申し出て(言いつけて)、必要な措置をとるように求めることができます。

この申し出は、直接の被害にあった人だけでなく、被害者でない第三者でもできます。また、被害が解決した後でもかまいません。

主務大臣申出制度は、個人救済の制度ではなく、行政措置の発動につながる情報提供手段として活用されます。個人的な紛争・トラブルの解決を目的とした制度ではありません。

主務大臣は、申し出があったときは、必要な調査を行い、その申し出の内容が事実であると認めるときは、特定商取引法に基づく措置その他適当な措置をとります。実際には、申し出た事柄を担当しているお役所が調査、確認をして、申し出どおり業者に問題がある場合には、指導、勧告、改善命令、業務停止命令などが出ることになります。

 

申出制度の流れ

申出書の提出

申し出をする場合には、必要な事柄を記入した申出書を作成し、取引の態様に応じ、以下の担当に提出します。

取引の態様 提出先(申出先)
訪問販売 都道府県の特定商取引法担当課
(都道府県知事)
連鎖販売取引
特定継続的役務提供
業務提供誘引販売
通信販売 経済産業省消費経済対策課又はお近くの経済産業局特定商取引法担当課
(経済産業大臣)
電話勧誘販売

 

申出書の受理・調査

・都道府県知事や経済産業大臣は、申出書を受け取った後必要な調査を行い、申出書に書かれたとおりの事実があったかなどについて、関係者から事情を聞いたり、情報の収集を行います。
都道府県知事や経済産業大臣は、必要に応じて、事業者に対して報告書を出させたり、調査を行います。
経済産業大臣は必要な場合には、指定法人へ調査を依頼できます。

  

必要な措置

・都道府県知事や経済産業大臣は、状況を改善する必要がある場合には、事業者に対して行政指導や行政処分などを行います。
・通達の発出などの措置をとることもあります。

相談機関

・申出制度の相談機関として「指定法人」の制度を設けています。
・現在、指定法人には、(財)日本産業協会が指定されています。

消費者トラブルの相談は、下記の相談窓口や最寄りの消費生活センターなどを利用するのが良いでしょう。

財団法人 日本産業協会  相談専用 (03)3501-3344
 〒105-0001  東京都港区虎ノ門2-5-21 寿ビル5F

経済産業省 消費者相談室 

本省 (03)3501-4657 〒100-8901 東京都千代田区霞ヶ関1-3-1
北海道経済産業局 (011)709-1785 〒060-0808 北海道札幌市北区北八条西2-1-1
東北経済産業局 (022)261-3011 〒980-8403 宮城県仙台市青葉区本町3-3-1
関東経済産業局 (048)601-1239 〒330-9715 埼玉県さいたま市上落合2-11
中部経済産業局 (052)951-2836 〒460-8510 愛知県名古屋市中区三の丸2-5-2
近畿経済産業局 (06)6966-6028 〒540-8535 大阪府大阪市中央区大手前1-5-44
中国経済産業局 (082)224-5673 〒730-8531 広島県広島市中区上八丁堀6-30
四国経済産業局 (087)861-3237 〒760-8512 香川県高松市番町1-10-6
九州経済産業局 (092)482-5458 〒812-8546 福岡県福岡市博多区博多駅東2-11-1
沖縄総合事務局 経済産業部 (098)862-4373 〒900-8530 沖縄県那覇市前島2-21-7

 

どんなときに申し出るのか?
(特定商取引と公正と消費者の利益が害されるおそれがある場合)

・書面を交付しない、必要なことが書面に書いていない。
・誇大広告
・迷惑な勧誘をする。
・事業者の正式な名称や商品の種類を告げずに勧誘を行う。
・強迫し困惑させる。
・事実と異なることを告げて契約を締結させたり、クーリングオフの妨げをする。

などです。

 

申出書

申し出する場合、

(1)申出人の氏名(または名称)及び住所
(2)申出に係る事業者
(3)申出に係る取引の態様
(4)申出の趣旨
(5)参考事項

が書いてあれば良いです(書面の様式や送付方法などは特に決められていません)。

申出書は次のように書きます。

                           

                        申 出 書
                                        平成○年○月○日
 ○○○○○○○殿 

                               氏名又は名称  ○○○○  ㊞
                               住所
                               電話番号 

 下記の通り、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがありますので、適当な措置を取られるよう、特定商取引に関する法律第60条に基づき、申し出ます。

                           記

1.申出に係る事業者
   所在地:
   名称:
2.申出に係る取引の態様
   ○○販売
3.申出の趣旨
以下のような事実があったので、適当な措置を取られるよう求めます。


(取引の公正や消費者の利益が害される恐れがあると認められる事実(誰が、何を、いつ、どのように行ったのか等)について、具体的かつ詳細に記載します。)


○○株式会社の行為は、消費者の利益を害していると思われますので、特定商取引に関する法律第60条に定められている申出を行いたいと考えるに至りました。
4.その他参考となる事項

(例えば、受領した広告物や契約書等の書面などを添付又は記載します。また、同じ事業者により同様の被害があった者の証言などもあれば記載します。)


 

注意点

主務大臣申出制度は、個人的な紛争・トラブルを解決を目的とした制度ではありませんので、「最後の切り札」という位置付けでと考えたほうが良いです。しかし、上手く使えば、解除・取消しの実行性を高められるかもしれません(内容証明に予告として盛り込むなど)。

地方自治体によって、「消費生活条例」に基づく申し出などの制度もあります。

世の中には、いわゆる「悪徳業者」と呼ばれる業者が多数存在しています。気をつけなければなりません。

 

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