ストーカー行為

ストーカー行為とは?

ストーカー行為等を規制する法律があります。これがストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)です。この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、「つきまとい等」を繰り返して行うことを言います。

条文(ストーカー行為等の規制等に関する法律)

(定義)
第2条 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。

一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。

二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。

四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。

六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。

 この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。

 

ストーカー行為については、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。しかし、公訴には告訴が必要になります(親告罪)。

ストーカー行為を受けた場合、警察に援助の申出、警告の申出、告訴(親告罪)をすることができます。

つきまといや無言電話、盗聴、盗撮などの行為を繰り返し、その挙句、殺人事件にまで発展してしまうケースもあります。

ストーカー行為の内容によっては、刑法上の強要罪脅迫罪名誉毀損罪傷害罪器物損壊罪などにも該当する場合があります。また、民事上では、物的損害や精神的損害に対して、損害賠償慰謝料の請求が可能な場合もあります。

 

ストーカー行為を受けた(受けている)とき

ストーカー行為をされたときは、まずは内容証明郵便でストーカー行為をやめるように警告を出します。あいまいな態度とらず、毅然と厳しく警告することで、相手にストーカーであることを分からせることが肝心です。内容証明郵便を出したことによって、ストーカー行為がなくなるケースも多いです。

内容証明郵便を送っても、相手がストーカー行為をやめない場合は、警察による対応をお願いしていくことになります(客観的にできるだけ詳しく状況を説明できるように、電話を録音したり、写真を撮ったり、勝手に送られてきた物を保管したりしておきます)。内容証明郵便で、一度警告しているということは証拠になり、警察もその後動きやすくなります。

直接、ストーカー(相手)と接触するのは大変危険ですので、できる限り直接会うことは避けてください。相手にすればするほど、要求に応じてもらえると思われてしまいます。

●「ストーカー」とまでは言えないが、以前付き合っていた彼氏(彼女)などが別れた後もしつこく連絡してきたりする場合、①すでに別れたこと、②やり直す気はないこと、③連絡をしてくるのをやめてほしい旨、を内容証明郵便で通知しておく方法もあります。

 

ストーカー対策(法的手続き)

(1)援助の申出

援助の申出とは、警察に申し出ることによって、①被害防止交渉を円滑に行うための必要な事項の連絡、②ストーカー行為等をした者の氏名及び連絡先の教示、③被害の防止交渉に関する事項についての助言、④被害の防止に関する活動を行っている組織の紹介、⑤被害防止交渉を行う場所としての警察施設の利用、⑥被害の防止に資する物品の教示又は貸出し、⑦警告、禁止命令等又は仮の命令を実施したことを明らかにする書面の交付、⑧被害を自ら防止するための措置の教示、⑨その他の援助、をしてもらうことができる制度です。

相談も兼ねて利用することをお勧めします。

(2)警告の申出

警告の申出とは、ストーカー行為によって不安を覚えている場合に、被害者が、警視総監若しくは警察本部長又は警察署長に対して警告を出してもらうように求めることができる制度です。

あくまでも警告を受けた者が自発的にストーカー行為を中止するように求めるものです(無視しても罰則はありません)。

警告によってもストーカー行為をやめない場合には、各都道府県の公安委員会が加害者から事情を聴いたうえで(聴聞手続き)、警告よりも強い禁止命令を発令することになります。

(3)禁止命令

禁止命令とは、警察本部長等からつきまとい等をしてはならない旨の警告を受けた行為者が、その警告に従わずストーカー行為を繰り返し行う場合に、各都道府県の公安委員会が行為者に対して発する命令のことです。

内容は、警告に違反して行ったストーカー行為を、さらに繰り返してはならないという命令、さらに繰り返して警告違反行為が行われることを防止するために必要な事項についての命令、となります。

禁止命令を無視して、さらにストーカー行為を繰り返した場合は、罰則は重くなり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。

(4)仮命令(仮の命令)

仮命令(仮の命令)とは、被害者が警告の申出を行った時点ですでにつきまとい等のストーカー行為がエスカレートしており、危害防止に緊急を要する場合に、聴聞手続きを経ずに警察署長等から発せられる命令のことです。

ストーカーの被害者から警告の申出があった場合で、その被害の状況が次の3つの要件を満たすときには、警察署長等は「仮命令(仮の命令)」を発することができます。
①被害者が、その「つきまとい等」の行為(ストーカー行為)により、現に身体の安全、住居等の平穏、名誉が害され、又は行動の自由が著しく害されている場合
②被害者に対して、その行為をさらに反復して行うおそれがあると認められる場合
③被害者の身体の安全、住居等の平穏、名誉が害され、又は行動の自由が著しく害されることを防止するために緊急の必要があると認めた場合

行為者が仮命令(仮の命令)に違反した場合、公安委員会は、発令から15日以内に「意見の聴取」を行い、違反がある場合には聴聞をせずに禁止命令を発令することができます。

 

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