マンショントラブル

隣人からの生活騒音・振動

マンショントラブルで最も多いのが、隣人からの生活騒音・振動の問題です。

騒音・振動の問題は、かなり難しくやっかいな問題です。「騒音」かどうかの判断は人それぞれですし、一度もめると、当事者同士で話し合いをしても、双方が感情的になってしまうことも多く、なかなか解決に至らないのが現状です(ただし、基本的には当事者同士の十分な話合いが必要です)。

日常生活から発生する生活騒音については、これを直接規制する法律はありませんが、地方自治体によっては条例で規制していることがあります。規制の有無や内容については、地方自治体の公害担当課などに問い合わせてみてください。

人が生活していくうえで、まったく騒音や振動を出さないということは不可能と思われます。しかし、「受任限度」を超える騒音に対しては、①騒音発生源に対する差止請求又は防音設備の設置を請求する、②健康被害及び精神的苦痛に対する損害賠償請求、などが可能となります。これらの請求を認める根拠としては、「社会生活を営むうえで、お互いに我慢しなければならないことがあるが、その程度を超えて被害が発生している場合は、被害回復のための手段を認める必要がある」というもので、その程度の基準となるものを「受忍限度」と言います。

「受忍限度」とは、我慢のできる範囲内ということで、不法行為を成立させる違法性がない、ということです。

「受忍限度を超えているか否か」については、周辺地域の利用状況、騒音発生の原因、騒音の大きさ、騒音の継続する時間、騒音の発生する時刻、騒音発生防止の措置の有無などの諸事情を総合的に考慮して判断されるべきものと考えられています。

騒音等を出している側にはまったく悪意がなく、しかも自分が周囲に迷惑を掛けているということに気付いていない場合もあります。ですから、まずは当事者同士の話し合いをして改善を求めます。それでも、話し合いがこじれたり、相手が話し合いに応じないときには、証拠の残る内容証明で通知を送りましょう。

 

ペット飼育禁止の違反

特にマンションなどの共同住宅では、鳴声による騒音、あるいは悪臭、凶暴性の危険などを防ぐという趣旨により、一定の種類の動物の飼育が禁止されていることがあります。これは、貸主と借主との間の賃貸借契約で決められていることもあり、また、マンションの管理規約で決められていることもあります。

ペット飼育禁止の特約や規約は、その禁止の趣旨が合理的なものであれば有効です。

ペット飼育禁止の特約や規約がなくても、近隣に多大な迷惑を掛けている状態であれば、その旨を内容証明に記載して改善を要求します。

 

共同の利益に反する行為

分譲マンションなどの区分所有建物では、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律:通称マンション法)の規定により、区分所有者等(同居人や賃借人などの「占有者」を含む)は、区分所有者全体の「共同の利益」に反する行為をすることが禁止されています。

条文(建物の区分所有等に関する法律) 

(区分所有者の権利義務等)
第6条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
 区分所有者は、その専有部分又は共有部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
 第1項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

「共同の利益に反する行為」とは、建物の保存に有害な行為、建物(敷地を含む)の適正な管理や使用に障害となる行為をさし、財産的な側面と共同生活に関する側面から見て、これらの利益を侵害する行為を言います。侵害の態様は、(1)建物の不当な毀損行為(2)建物の不当な使用行為(3)建物の不当な外観変更行為(4)居住者のプライバシー侵害やニューサンス(騒音・振動・悪臭など)に該当する行為、の4つに分かれます。侵害が複数の態様にまたがる場合もあります。
建物外壁に開口部分を作り換気装置を設置した行為(東京高判昭53.2.27)
バルコニーに温室を設置した行為(最高判昭50.4.10)
バルコニーに看板を設置した行為(東京地判昭61.9.25)
暴力団事務所として使用している(京都地判平4.10.22)
マンション1階のカラオケスタジオの一定時間帯の使用禁止が認められた判例(東京地判平4.1.30)
占有部分の悪臭による侵害行為が、「他の区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するとして、ゴミ、動植物の腐敗物、害虫の幼虫などの除去及び放置の禁止を命じた判例(大津地判平13.2.13)
などが具体例です。

「共同の利益に反する行為」に該当するかどうかの判断は、「当該行為の性質、必要性の程度、これによって他の住民らが受ける不利益の態様、程度などの事情を十分比較して、それが住民らの受忍の限度を超えているかどうかを検討するのが相当」とされています(横浜地判平6.9.9)。

 

建物区分所有法における義務違反者に対する措置

区分所有者が共同の利益に反する行為をする場合

(1)行為の停止等の請求(区分所有法第57条)
 ある区分所有者が、共同の利益に反する行為をした場合(又はそのおそれがある場合)には、他の区分所有者は、その行為の停止(又はその行為の結果の除去や、その行為を予防するために必要な措置を行なうこと)を、その区分所有者に請求できます。実際には、管理規約の定めにより、理事長が理事会の決議を経て、理事長からその区分所有者に対して正式に行為の停止等を要求することが多いです。裁判を起こして行為の停止等を請求することもできますが、集会の普通決議が必要になります。

(2)使用禁止の請求(区分所有法第58条)
 共同生活上の障害が大きく、行為の停止等の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする区分所有者に対して専有部分の一定期間の使用禁止を請求することができます。この使用禁止の請求をするには、必ず裁判を起こす必要があり、裁判の提起には集会の特別決議(区分所有者数の4分の3以上で、かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要になります。

(3)競売の請求(区分所有法第59条)
 共同生活上の障害が非常に大きく、使用禁止の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする区分所有者の建物・土地に関する権利を、強制的に競売することができます。この競売の請求をするには、必ず裁判を起こす必要があり、裁判の提起には集会の特別決議(区分所有者数の4分の3以上で、かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要になります。

区分所有者の同居人賃借人などの占有者が共同の利益に反する行為をする場合

(1)行為の停止等の請求(区分所有法第57条第4項)
 ある区分所有者の同居人や賃借人などの占有者が、共同の利益に反する行為をした場合(又はそのおそれがある場合)には、区分所有者が共同の利益に反する行為をする場合の措置(1)と同様に、他の区分所有者は、その行為の停止等を、その区分所有者に請求できます。また同様にこの行為の停止等を理事長等が裁判を起こして請求することもできますが、裁判を起こす場合には、集会の普通決議が必要になります。

(2)占有者に対する引渡しの請求(区分所有法第60条)
 共同生活上の障害が大きく、行為の停止等の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする占有者に対して、専有部分の引渡しを請求することができます。この請求をするには、必ず裁判を起こす必要があり、裁判の提起には集会の特別決議(区分所有者数の4分の3以上で、かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要になります。この請求が裁判で認められると、占有者はその専有部分から退去しなければなりません。

 

管理費の支払請求(不払い・滞納)

ローンの返済などが原因で、管理費の支払いができない人も多くなっています。管理組合としてはかなり面倒で大変ですが、こまめに回収活動を行う必要があります。

話し合いなどでも解決できない場合には、内容証明で支払いの請求をします。内容証明でも解決できなければ法的手続きを検討することになります。

 

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